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カテゴリ: みんなの書評

古今東西、かなり本を読んできましたが、現代社会で最も優れた、あるいは現代にフィットした探求の名著であることは間違いなと思います。

何故か?クリシュナムルテイは全くと言っていいほど、解答を提示していません。安易にこれが真理、あれが正義とこの複雑な社会で一義的に解答がでるのは、むしろ非現実的である。どうしても彼の扱いは神秘家や宗教家、あるいはスピリチュアルにカテゴライズされてしまいますが、彼はそれらを否定する上に、宗教・真理・グル・あるいは科学までも否定するゆえに、どこにもカテゴライズされない聖人です。

しかし、書物を販売する以上、どうしてもどこかのカテゴラリーに入れなくてはならないで、スピリチュアル系に属していることが多いですが、まったくスピリチュアルではありません。ぜひ一読を。



(kanekoさんの書評)

―音楽と夕暮れをめぐる五つの物語―
目次: 老歌手、降っても晴れても、モールバンヒルズ、夜想曲、チェリスト

   たとえば村上春樹のように短編と長編でちがう顔を見せる作家がいるけれど、この短編集を読むと、カズオ・イシグロもそうだとわかる。長編とはまたちがったユーモアを交えて音楽を愛する人たちを描いていて、ますます好きになった。

   どれも映像的な作品という印象がある。舞台の美しさという意味でもそうだし、音楽があって、登場人物たちがいきいきと動き回り、ストーリーが巧妙に展開していく。

「老歌手」ではベニスの街をさまよっている気分を味わえるし、「降っても晴れても」では五感をフルに使いつつ、人間の妙な奥深さを体験できる。「モールバンヒルズ」では、イギリスの片田舎の風景を楽しみ、「夜想曲」ではセレブの生活を垣間見て、「チェリスト」ではイタリアの広場の雰囲気を味う。これに必ず音楽がついてくる。

   とはいえ描かれているのは、音楽を愛してやまない人たちが抱える苦い思いの数々だ。自分だけではどうにもならない世界で、人々が直面するドラマを面白おかしく描いている。でも、どこか切ないものが根底に流れている。そのトーンがまさにカズオ・イシグロの世界だと思う。登場する人たちは実にさまざまで、それこそめちゃくちゃな人もいるけれど、どういうわけだか、この人たちを全部合わせたのが自分なのかなという気になるのが不思議だ。

   家族、夫婦という関係の危うさを織り交ぜているので、より人間くさいものが味わえるのかもしれない。



(Reeko3さんの書評)

著者のリズ・マレーは1980年、ニューヨークのブロンクスに生まれ、薬物中毒の両親のもとで育った。自分の人生は自分で変えられる、人生に意味を与えるのは自分自身だというメッセージが込められたノンフィクション。物心がついてから紆余曲折があり、ホームレスを経てハーバードに入るまでの日々を克明に語っている。これが小説だったら、非現実的すぎるし、嘘っぽいと言われるのではないかと思う。ほんの20年ほどの間に、1人の人間がこれほどのまでの体験をできるのだろうかと思うほど、過酷で、驚くことばかりだった。

 両親がドラッグなしでは生きていけないような人たちだったので、幼い頃から悲惨な生活を強いられる。そこに悲しみはあるのだけれど、憎しみはないように見えた。どんな厳しい状況にあっても著者が命を落とさず、並々ならぬ意志を持って大学までたどり着けたのは、常に助けてくれる人が現れたからだと思う。

 していたことは決して褒められるようなことではないとしても、生きるという意図を持って日々を凌いでいるうちに、思いも寄らぬ出会いで救われることが何度かあった。でも、これじゃいけない、自分は変わるんだと心を決めてからは、「運」がつくようになったと思う。行動しているうちに自然と知恵がつき、勝手に人が情報をくれて、さらに前に進めるようになっていく。それにしても、強靱な精神力と体力がなければできないことばかりを乗り越えられたのは、幼い頃から積み重ねてきた体験があったからこそ、という部分もあるような気がした。

 自分の意志だけでは乗り越えられそうにないとき、著者は自分のことを陸上競技のハードル走の選手だと思うようにしていた。私は今トラックを走っている最中で、次々とハードルを越えているところなのだ、トラックにいるんだからハードルがあって当然でしょ? さあまた1つ越えよう。こう考えると、楽に越えられたという。

 そんな彼女にある教師が言った言葉が印象的だった。
 「つまりね、リズ、君ならどこへ行こうと、そこでベストを尽くすはずだ、ってことだよ。今の君があるのも、ずっとそうしてきたからだ・・・・・・だから、君ならどこへ行っても大丈夫、私にはわかる・・・・・少し力を抜いて、自分への思いやりを持つことだ」

 昨年この原書を読む機会があったので、今回で二度目になる。あらためて気づいたこともあったし、かなり荒っぽい言葉の訳し具合とか、いろいろな要素を楽しめた。



(Reeko3さんの書評)

連作短編がほんとにいい味を出してくれています。

タイトルにもあるシズカの最後はあまりにも切ない。
しかし、その切なさは最後の最後で一気にくる。
それまでは様々な視点からのミステリー。

一気に読み終えたくなる作品でした。




(くーるりさんの書評) 

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