「村上春樹のおすすめ作品は?」

と、よく聞かれますが…その度に答えに困ってしまいます。
僕は村上春樹の小説が好きです。たぶんすべての小説を読んでいるし、作品によっては数十回読んだのもあります。

だけど、いざ「おすすめは?」と聞かれると難しい。
なぜなら村上作品は面白いと思うのだけど、決して人を幸せにする物語だとは思っていないからです。

内向的に世の中との感情の関わりを断つような生き方をする主人公に、共感して、そのとき救われたとしても…、それが幸せな生き方だと僕には確信が持てるわけもありません。

それで結局、僕がいつも答えるのが「蜂蜜パイ」という短篇。

「神の子どもたちはみな踊る」6篇の短編集のひとつなのですが、これは村上春樹のすべての小説のなかで、唯一ひとにお勧めできる作品です!なぜなら、ここにはきちんと辛くも幸せな人生が描かれているから。

この小説にいちばん好きなセリフがあります。
「世界これからどんどんよくなっていくんだ」というセリフ。
(すみません、美容に言葉尻が違うかも)

村上春樹らしからぬ、この言葉があらわしているのですが、とても希望をくれる、あたたかく、やさしい物語です。春樹嫌いの人でも、ぜひ一度読んでみてほしい一篇です。